
【後編】「注文住宅で家の一部をお店にする」法規制と施工事例
こんにちは、atelier SUBACO 広報担当です。
※こちらのコラムでは毎週、月・水・土曜日に「家づくりに役立つ情報」を発信しています!
気温が暖かくなったと思えば、また急激に冷え込みましたね。
温かく安定した季節が待ち遠しいです ^^;
寒暖差が激しい時期ですので、体調にはくれぐれもお気を付けてお過ごしくださいね!
さて、今週のテーマは「家の一部をお店にする方法」についてです。
早速ですが、「自宅の一部をお店にして、自分らしい働き方を実現したい!」そう考えたことはありませんか?
最近では、カフェやサロン、雑貨店などを自宅で開業する「店舗併用住宅」が注目されています。
通勤不要でコストも抑えられ、自分のこだわりを活かせるのが大きな魅力です。
しかし、住まいと店舗を両立させるためには、設計や法律面での工夫が欠かせません。
適切なプランニングをしなければ、住み心地やお店の使い勝手が悪くなってしまうことも…。
そこで今回は、店舗併用住宅を成功させるための「メリット」「設計のポイント」「法規制」「人気の業種」などを2回の記事に分けて詳しく解説していきます!
これから家を建てる方や、自宅でお店を開きたいと考えている方は、ぜひ参考にいただければと思います ^^
前回のコラムでは、「注文住宅で家の一部をお店にする、メリットと設計のポイント」について解説しました。
今回は、実際にお店を始めるために必要な「法規制や手続き」の確認ポイントや、「施工事例」をご紹介いたします。
【 法規制と手続きの確認 】
① 用途地域を確認する
店舗併用住宅を建てる際に、最も重要な確認事項の一つが「用途地域」 です。
これは、都市計画法に基づき、土地の利用目的を制限するルールで、住環境の保護や都市の健全な発展を目的としています。
用途地域を事前に確認せずに土地を購入してしまうと、「希望していた店舗が開業できない」「建物の規模に制限がある」など、思わぬトラブルにつながる可能性があります。
用途地域によって建てられる建物の種類や規模が異なるため、計画の初期段階でしっかりと確認することが重要 です。
理想の店舗併用住宅を実現するためにも、自治体のルールを把握し、適切な土地選びを行いましょう。
・用途地域とは?
用途地域は 全13種類 あり、大きく 「住居系」「商業系」「工業系」 に分類されています。
それぞれの地域で、建てられる建物の種類や制限が異なります。
上記の表のように、用途地域によって 店舗の規模や営業可能な業種に制限がある ため、計画時に確認しておくことが非常に大切です。
また、用途地域の確認は、建築予定地のある 市役所や区役所の都市計画課 で行うことが可能です。
最近では自治体のホームページで 「用途地域マップ」 を公開していることが多いため、インターネットで事前に調べておくとスムーズです。
② 建ぺい率・容積率をチェック
店舗併用住宅を計画する際に重要なポイントの一つが、建ぺい率 と 容積率 です。
これらは、建物の大きさや階数を決めるうえでの基本的な指標であり、地域ごとに異なる制限が設けられています。
これらの制限を超えないように、事前にしっかり確認し、設計を調整することが必要です。
・建ぺい率とは?
建ぺい率とは、敷地面積に対する建築面積(建物が地面に接する部分の面積)の割合 を指します。
たとえば、敷地面積が100㎡で建ぺい率が60%の場合、建物の建築面積は最大60㎡までとなります。
建ぺい率が制限される理由は、周囲の採光や通風を確保し、快適な住環境を維持するためです。
建ぺい率を超えてしまうと、日照や風通しが悪くなり、建築確認が下りないため注意が必要です。
・容積率とは?
容積率とは、敷地面積に対する延床面積(建物の各階の合計面積)の割合を指します。
例えば、敷地面積100㎡で容積率が200%の場合、建物全体の延床面積は最大200㎡まで建てることができます。
容積率が制限される理由は、過密な建築を防ぎ、適切な街づくりをするため です。
特に、住宅地では過度に大きな建物が建てられないよう、厳しい制限が設けられていることもあります。
建ぺい率・容積率は、地域によって異なるため、建築前に自治体の窓口や建築士に相談し、土地の制限を確認することが大切 です。
制限を超えないように設計を調整することで、スムーズに建築計画を進めることができるため、事前の確認と適切な設計計画をしっかりと行うことが大切です。
③ 営業許可を取得する
飲食店や美容室、教室など、店舗を開く業種によっては、保健所や自治体から営業許可を取得する必要があります。
例えば、飲食店の場合、衛生面を考慮して保健所の許可が必須です。
どの業種を選ぶかに応じて、必要な許可を取得するための手続きを早めに行うことをおすすめします。
④ 近隣住民への配慮も忘れずに
店舗併用住宅を運営する場合、近隣住民への配慮も大切になります。
騒音や駐車問題が発生しないように、事前に周囲の人に説明しておくとトラブルを回避できます。
営業開始前に、近隣住民へお店の運営時間や駐車場の利用方法を事前に共有しておくことで、トラブルを防ぎ、良好な関係を築きながら円滑に店舗を運営することができます。
【 店舗併用住宅の施工事例紹介 】
今回ご紹介するのは、ご夫婦お二人がゆったりと暮らしながら、お家の一角をサロンとして活用する平屋です。
敷地面積は196.38㎡(59.40坪)、延床面積は76.59㎡(23.17坪)。
建物の南西に約8帖のサロンスペースを設け、住まいとお仕事のバランスを考えた設計になっています。
それでは、このお家ならではのこだわりや、注文住宅だからこそ実現できた工夫をご紹介します ^^
point1:店舗と住居の動線を分けることで、プライバシーに配慮した設計に
店舗併用住宅の設計では、「お客様を迎える玄関」と「ご家族専用のプライベート玄関」をそれぞれ設けることで、暮らしと仕事が快適に両立できるように工夫しました。
玄関を分けることにより、家族が日常的に使う空間にお客様が立ち入ることなく、プライバシーを保ちながら生活することができます。
これにより、住居と店舗の動線を分け、ストレスなくそれぞれの役割を果たせる環境が整います。
point2:水回りもスムーズに!プライバシーを守る快適な動線
今回のお家は、ご家族とお客様が共に出入りするため、共有で使用する水回りの動線に特に配慮して計画しました。
玄関は「お客様を迎える玄関」と「ご家族専用のプライベート玄関」の2つに分け、それぞれの空間を通らずに直接アクセスできるよう設計。
ご家族専用の玄関を入ると、左手には手洗い・トイレ・お風呂がまとまった水回りを配置し、スムーズな動線を確保。
さらに、仕事部屋からも直接水回りにアクセスできるため、LDKや寝室を経由せずに利用でき、生活空間と仕事空間をしっかり分けながら快適な動線を実現しています。
point3:注文住宅ならではの自然素材を活かした、心地よいリラックス空間
今回は、自宅でサロンを開くため、自然素材をふんだんに取り入れ、温もりと落ち着きのある空間に仕上げました。
空間に柔らかな雰囲気をプラスするため、床材には優しい木目と温もりのある質感が魅力の西南ザクラのフローリングを採用。
さらに、カウンターや扉もすべて造作で仕上げ、カバザクラを使用することで、統一感のあるナチュラルなデザインに。
また、事前に収納するものを計画し、それに合わせて棚を造作で取り付けることで、見た目の美しさと機能性を兼ね備えた、使い勝手の良い収納を実現しました。
注文住宅だからこそ、一人ひとりの理想を細部まで反映し、理想のお店の雰囲気をかたちにすることができます。
point4:町並みに調和するガルバニウム鋼板の外壁
今回は、地域の景観を維持しつつ、メンテナンス性にも優れたガルバリウム鋼板の外壁を採用しました。
店舗併用住宅だからといって、個性的すぎるデザインにしてしまうと、街並みに馴染まず、周囲から浮いてしまうこともあります。
そのため、シンプルで普遍的な美しさを持つ素材を選ぶことで、地域との調和を大切にしながらも、長く愛される外観を実現しました。
ガルバリウム鋼板は、すっきりとしたデザイン性に加え、耐久性や防錆性にも優れており、定期的なメンテナンスの負担を軽減できるのも大きな魅力です。
デザインと耐久性を両立するガルバリウム鋼板は、店舗併用住宅にぴったりの外壁材といえます。
以上、「家の一部をお店にする法規制と施工事例」についてお話いたしました!
店舗併用住宅を建築する際、法規制や立地、間取りなど考慮する部分は多いですが、しっかりと計画を立てて設計することで、事業を始める方にとってメリットの多い仕様の住宅になります。
快適な住居空間と効率的な店舗スペースを両立させることで、仕事と生活のバランスを取りやすく、長期的に見ても経済的なメリットが大きいです。
これから家を建てる方や、自宅でお店を開きたいと考えている方は、ぜひ店舗併用住宅の計画を進める際に参考にしていただけると嬉しいです!
また、本日ご紹介したお家は、SUBACOのYouTubeチャンネルで公開中のルームツアーで詳しくご覧いただけます。
間取りや施工の工夫など、気になるポイントをチェックしたい方は、ぜひご視聴ください!
店舗併用住宅のルームツアーはこちら(クリックするとSUBACOのYouTubeに移動します)
それでは次回の更新もお楽しみにお待ちください!
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
